窓の外を見ると食堂から戻ってきた一条三兄弟が中庭を歩いていた。

言うまでもなくその後ろにはまるでカルガモの親子のようにぞろぞろと続く女子たちの群れ。

その様子をメロンパンを食べながら眺めていると……。


三兄弟のひとりと目が合ってニコリと私に手を振ってきた。それに続いて子犬のようにキラキラとした目でもうひとりが「まりりーん!」と叫ぶ。


「え、茉莉(まり)知り合いなの!?」

景ちゃんが隣でビックリした顔をしていた。


「う、うん。知り合いというか……」

手を振り返さないのも悪いと思って小さく応えているけれど、周りの女子の視線が怖い。