「――霧島!」
その後ろ姿に声をかけたのは聖だった。
霧島くんは静かに振り向いて私たちをじっと見つめる。その瞳はもう見下すような目付きじゃなかった。
「俺もひとつだけ気づいたことがある」
言うか言わないか迷って。それでも口にしようと決めたような霧島くんのそんな顔。そして……。
「人間は俺たちを差別するように扱う。今はそんな世の中になってしまったんだと思ってた。分かり合うことも、理解し合うのも不可能だと思ってた。でもお前たちを見てると……」
「………」
「不思議と一緒に生きていくことができるんじゃないかと思うよ」
それはとても晴れやかな顔で。
意地悪で冷酷で傲慢で、霧島くんはイヤなことしかしないと決めつけていたけど。それもまた人間との一線を引くためにしていた霧島くんなりの虚勢の張り方だったのかもしれない。
それが分かって、霧島禄という人を知って。
これから霧島くんとも共存して分かり合えるんじゃないかって今はそう思う。
「俺たちも帰ろう」
聖が優しい顔で私の手を握る。
「うん!」
雲ひとつないコバルトブルーのような空が私たちの未来への背中を押してくれてるような気がした。



