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それからどのくらい時間が経ったのか分からない。
「……ん……」
ゆっくりと目を開けるとそこは見知らぬ場所だった。目の前には大きな鳥居があって周りは深い森に覆われている。
私の腕は後ろにある拝殿の柱に縛られていて自由に身体を動かすことができない。
「やっと目を覚ましたか」
石段を上がってくる音がして霧島くんは私の前で足を止めた。
「ここはどこなの……!?」
空気がやけにひんやりしていた。
「ここはうちの一族が代々受け継いできた名のある神社だ。まあ、今は見てのとおり機能してないけどな」
たしかに神社はかなり古くなっていて、人の出入りがまったくないことが分かる。
「私をこんなところに連れてきてどうするつもり?」
「さあな。これから考える」
霧島くんは憎たらしいほど冷めていて、さっきまで一条家で暴れていたとは思えないほど。
「……この縛ってる縄をほどいてよ」
「そしたらお前は逃げるだろ」
「どうやって逃げろって言うの?こんな森深い場所で、しかも現在地も分からないし周りはカラスだらけ。逃げ場所なんてないでしょ」
こうなったら開き直るしかない。
私がメソメソ泣いたところで霧島くんにはなんの効果もないのだから。



