「じゃあ、なんで放課後まで霧島の体質のことを俺たちに相談しなかった?」

まるで出逢った頃のような目付き。


「す、昴さんや晶くんは階が違うから会わないし、聖に相談したくても教室で霧島くんが八咫烏になったなんてみんなの前では言えないでしょ?」

「みんなの前で、なんて言ってないだろ。俺だけに伝えるチャンスはあっただろ」

「な、なかったよ……。聖は教室ではいつも寝てるし教室移動も終わったあとでタイミングなんて……」

私と聖が言い合っていると、それを止めるように昴さんが間に入る。


「まあまあ、ふたりとも落ち着いて。聖も茉莉ちゃんを責めても仕方ないだろ?もう起きてしまったこと事実として受け止めないと」


聖が私を責めたことは間違いじゃない。

たしかに三人の誰かに相談するべきだった。私は無力だしなんの力もないし、霧島くんに詰め寄られたら抵抗することもできない。

相談するべき……だった。


でも霧島くんにキスをされたことがショックで頭が回らなくて……なんて言い訳になるはずがない。


「……ごめんなさい。本当にごめんなさい……っ」

私は声を詰まらせて、ただ謝ることだけ。