そんなことを考えても仕方ないと打ち消して。早くお昼ご飯を食べる為に雑用をさっさと終わらせた。


「なんかたまには学食が食いてーな」

「昴さんのお弁当のほうが美味しいじゃん」

「毎日は飽きる」

「……もう、贅沢だなあ」

聖とそんな会話をしながら教室に戻る途中で……。


「随分と呑気だな。校則違反で罰せられたいのか?」

背後からイヤな声。

振り向かなくても自然と顔が強張ってしまう。


「ああ、お前は確か鼻が鈍い一条三兄弟の次男だな」

「は?」

霧島緑はわざと聖を煽るような言い方をする。

一触即発の雰囲気。ピリピリと空気が痛いぐらい。聖は霧島くんの胸元に付いている校章を見た。

それは生徒会長だけが付けられる金バッジ。


「お前が霧島か?」

「親しくなった覚えはないのに随分と馴れ馴れしい言い方だな」

いつの間にか窓の外にはカラスたちが集まっていて、どうやら霧島くんの指示で動いているのは本当らしい。

まるで沢山の敵襲に囲まれてる気分だ。