「茉莉、おはよう」
学校に着いて教室に入るとすぐに景ちゃんが席まで来てくれた。なんだか景ちゃんを見るとホッとする。
「あれ?なんか泣きそうな顔?」
「え?ぜ、全然そんなことないよっ!」
気持ちの切り替えができるか分からないけど切り替えよう。そもそも聖に悪気はないし、元はといえば私が勝手に部屋に入り込んだわけだし……。
「そういえばさ、今日生徒会長が女の子泣かせたらしいよ」
「え?」
一気に現実に引き戻されるような霧島禄の話題。
「なんかつまずいて会長の肩に当たりそうになったんだって。なのに受け止めるどころか手も貸さずにすごい剣幕で怒鳴り付けたとか。あれは相当な女嫌いだね。むしろ病的なぐらい女子を毛嫌いしてるよね。本当に最悪なヤツ!」
けっこう景ちゃんが言いたい放題言ってることは置いておいて。
確か私が生徒手帳を拾って肩を叩こうとした時も上手く交わされたっけ。
まるで後ろに目が付いてるぐらい敏感で、絶対に自分の領域には踏み入れられないようにしてる。
――『向こうにもなにかしらの弱点があるはずだから、それを探っておくのもいいかもしれない』
ふと甦る昴さんの言葉。
弱点……まさか、ね。



