「こ、聖……」
とりあえずベランダ越しで呼んでみる。だけどもちろん反応はないというか……きっと届いていない。
「聖、大丈夫?」
近所迷惑にならない程度で声を出してみたけど、通行人の声のほうが大きくてダメ。
こんなことをしてたって聖の風邪が治るわけじゃないし、昴さんや晶くんが帰ってくるのも待てない。
考えて考えて悩んだ末に、私は覚悟を決めてベランダの手すりに足をかけた。
こんなことしちゃいけないって分かってるけど少しだけ顔を見るだけ。大丈夫だったらそれでいいし、とにかく心配だから……。
私の短い足が危うく隙間に引っ掛かりそうになったけど、なんとか無事に聖の部屋のベランダへと着地。
ゆっくりと窓に手を伸ばすと簡単に開いて、目の前には聖の部屋。
入るのは2度目だけど、やっぱり心地いい匂い。
足音を立てずにベッドに近づくと聖が赤い顔をして寝ていた。



