やっぱりこの威圧感な空気は凄い。

それにさっきの言葉。あいつの鼻って……聖のこと?

この前も昴さんの吸血鬼を匂わせるようなことを言っていたし、もしかして……。


「知ってるの?」

あえて主旨を言わずに聞いた。


「知ってるって、なにが?」

またこの目。人のことを見下して嘲笑うような目。霧島くんは私を通りすぎて、先ほどカラスが沢山止まっていた電柱を見つめた。


「お前、あいつが好きだろ」

「え?」

「一条聖」

やっぱり〝あいつ〟とは聖のこと。

知り合い……ではない気がする。三人はそんなこと言ってなかったし、そもそもこんな怪しげなヤツと仲良くするはずがない。


「……だったら、なに?」

苦手を通り越して、私はこの人のことが嫌いだ。だから嫌いな人に言葉を気をつける必要はない。