「暑いね」
そう言いながら日陰を探して歩く。
手を繋いでるから暑いんだよ、ってわざと手を離そうとすればぎゅって握られて、だめ、って照れたように笑うアイが隣にいる。
弱虫な癖に、ヘタレのくせにちょっと強引。
繋いでいるわたしの手をときどきこするようにするのはアイの癖だ。
くすぐったい、とわたしが笑うと自分がしてることを今気付いたって顔して恥ずかしそうに笑う。
恥ずかしそうにするアイを見てわたしもちょっとだけ恥ずかしくなって少しだけ好きがふえる。
だからわたしは、すきだよ、ってそう言った。
「俺のほうが、たぶんすき」
アイのくせにちょっと甘くてすこしかすれた声が夏に響いた。