休日も上手く眠れなかった。

気付いたら夜が終わっていて寝ているのかそれともずっと起きていたのか自分でも良く分からない。鏡を見ると目の下にクマが出来ているからちゃんと眠れていないのは確かだ。そういえばご飯もあまりきちんと食べていないかもしれない。


ダメダメだ。わたしは藍佑がいないとちゃんとご飯も食べられないのか。確かに毎日アイのことを考えているのに、わたしの頭の中にも心の中にもアイがいない。


可愛い顔で、ウタ、って笑うアイの顔がはっきりと思い出せない。わたしにしか聞こえない声で、好きだよ、って言うその声がもうわたしにも聞こえない。



学校に行くと今週でもう夏休みに入ることを知る。

アイはもうわたしのことなんかたぶん忘れてあの女の子とA4のノートで会話をしている。


やめてよ、そのノートを征服するのはわたしだ。

わたしだったのに、わたしのためだけに綺麗な文字でそのちっぽけなノートが埋まっていくはずなのに。



ちっぽけなノートはアイの全て。普通のサイズから比べたら大きな、だけど世界から比べたらちっぽけなノートがアイの全てなのだ。

それをわたしは可哀相だとは思わない。だけどその世界を飛び出そうとしないのは、どうしてだろうと思う。

どうしてわたしの為に飛び出そうとしてくれないんだろう。ずっとずっとそう思ってたのに。




「藍佑くん、今日も一緒に帰ろうね」




うん、と頷くアイを見て、死にたい病のわたしはまた死にたくなった。