22時少し前にかけていた電話はかけるのをやめた。その代わりに「Don’t Look Back In Anger」をベッドの上で聴くようになった。

目を瞑って音楽を聴きながら、アイは毎日どんな気持ちでこの曲を聴いているのか考えてみる。だけどちっとも分からない、もしかしたらただこの曲が好きだから聴いているだけなのかもしれないな。

そんなことを頭の隅で考えながら、もしかしたらアイの方から電話をかけてきてくれるかもしれない、と妄想する。


ユウタは元気かな、ちゃんとアイのことかまってあげてる?

子猫をとても大事そうに抱き締めるアイの姿を思い浮かべて死にそうなくらいに苦しくなった。



わたしはすぐに死にたくなる。

目が合って、アイの瞳に映る自分を見つけて、幸せすぎて死んでもいいかもしれないと思った。藍佑を傷つけて嫌われてしまったかもしれないと思うと死にそうなくらい辛くなった。

きっとわたしは、わたしは死ぬほどアイのことが大好きなんだ。ううん、きっとじゃない。死ぬほど大好きなんだよ。

そうしたらまたわたしはベッドの上で、死にたくなった。もしかしたら死にたい病なのかもしれない。


アイに殺されたら本望だ。でもわたしはまだ死ねない。死ぬほどつらくてもアイにごめんねって、好きだよって伝えるまで、わたしはまだ死ねない。


明日こそ、ごめんって言おう。逃げられても捕まえるまで追いかけよう。そう決心したのに明日は土曜日だったことに気付く。

学校で会えなければ家まで行けばいい。でも、どうしよう、出かけてるかもしれないし、家に入れてくれないかもしれないし。そんなことをうじうじ考えて気付いたら休日は終わっていた。