もうあの日から何日経ったかなんて忘れた。ちょっとだけ眠れなくなった、ちょっとだけ食欲が無くなった。死にそうで死に切れない毎日を過ごしていたらいつの間にか傷がかさぶたになっていた。

あの子とアイは毎日一緒にいるみたいだった。


もうわたしのことは好きじゃないってことなのかな。

奥田がわたしを慰めるような言葉を言っていたような気がするけどぜんぶ忘れた。


もうだめなのかもしれない。やっぱりわたしは一生藍佑の声を聞けないのかもしれない。

声だけじゃなくて、顔も見られなくなるのかもしれない。


ごめんね、いいよ、それだけで元通りになれちゃう幼稚な仲直りの仕方じゃわたしたちは元には戻れない。



とぼとぼと一人学校から帰る。自転車じゃなくて徒歩で学校に来るのは、もうだめだと思いたくないからで。そのうちアイが帰ろうって口をぱくぱくさせてわたしのところに来てくれるかもしれないと期待しているからだ。


夏だよ、アイ。藍佑はどんな思いで夏を迎えているの?


空を見上げた。ジリジリと照り付ける太陽に溶かされてしまいたい、どろどろになったらきっとこんな気持ちにはならなくて済むはずだ。

セミの声が聞こえる、頭の中に響いてくらくらする、このまま倒れて死んでしまえばアイは悲しんでくれるのかな。