そのくちづけ、その運命

「ね、あの約束覚えてる?」
しばらくしてから、真人が口を開いた。

何のことかと思っていると、

「早く実琴描きたいんだけど」

一気に思い出した。でも、

「無理だって!絶対無理!
というか、モデルなんてほかにいくらでもいるでしょ」

「いーやーだー。オレは実琴を描きたいの」

すぐ耳元で真人の声がする。

…むずがゆい。

…だけど、素直にうれしいと思ってしまうのだから仕方がない。

それを真人に直接伝えられるようになるにはまだ少し時間がかかりそうだけど。



これが私たちの現在。
未来へと続く、今日という道しるべ。


真人、私を好きになってくれてありがとう。

あのときの私を見つけてくれてありがとう。


これは、果たして「運命」と呼べるものなのだろうか。


分からない。

でも私は信じていたい。

だって、何かに導かれるようにして、私たちは出会うことができた。

それは確かなことだから。