真人くんがそっと人差し指を私の目じりあたりに添えて、涙を拭おうとしてくれる。

そんな彼の優しさに触れて、再び愛おしさがこみあげてくる。

少しカサカサとした彼の指の感触。


「……泣かないで」


「うぅ…ごめんなさい」

涙でぼやける視界のなか、

私は我慢できずに真人くんの懐に飛び込んで、それから両手を思いっきり広げて彼を抱きしめた。

ぎゅっと強く。


「……実琴?」


彼の声に何も答えられなかった。

また涙があふれてきた。
止められない。

真人くん、真人くん。



数分後やっと嗚咽がおさまって顔を上げると、



「キスしよっか」



彼は唐突に言った。さっきまでとは違う、面白がるような笑みが口元に浮かんでいる。

…え!?

こ、こころの準備が!


「この前はオレが抑えきれなくなって、いきなりしちゃったけどさー、」

そこでいったん言葉を切る真人くん。

私は今真人くんの胸の中にいる。斜め上から右の頬に少し湿った感触。


……彼は自分の胸の中にいる私のほっぺたに、チュッと口づけを残した。

これもまた唐突に―