真緒くんは困ったような顔をしていた。 「…だから、輝のことが好きならちゃんと自分で渡した方がいいってこと」 「え……?」 どうしてそうなるの? 私が瀬戸輝のことを好き? 違う、違う、違う。 私はずっと…10年もずっと…… 見てきたのは真緒くんだけ。 好きなのは真緒くんだけ。 その10年の想いは1ミリも伝わっていなかったの? 「頑張れよ」 そう言って、真緒くんは笑った。