あの日は家に帰って泣き寝入りしたなぁ…。 あ。それと他にもある。 高校1年生の梅雨の時期のこと。 帰ろうと昇降口に行くと、外をぼーっと眺めている真緒くんを見つけた。 急な雨だし、手に傘を持ってないし…もしかして傘がなくて困ってるのかな。 私は鞄の中から折り畳み傘を取り出す。 勿論、1本だけしかない。 これを真緒くんに貸そう。 あわよくば相合傘なんて出来たり……ふふっ… そんな妄想をしていると、いつの間にか此方を向いていた真緒くんと目が合う。 私はとっさに下駄箱の陰へと隠れた。