そんな七海だが、この1ヶ月で凄く成長したことがある。 それは、小さな声であれば話せるようになったことだ。 「ん?」 手招きをされると俺は少し屈み、顔を七海の方へと傾ける。 そして、七海は耳元で囁くように話す。 「お願いがあります」 「何?」 「りっ…梨子と…呼んでくれませんか?」 七海は俺から離れ、恥ずかしそうに下を向いた。 朝はあんなに嫌がっていたのに、どういう風の吹き回しだろうか。