最後までお付き合いいただきありがとうございます。


この題材はずっと書いてみたかったもので、後半の頼子の語りで何度も挫折しようやく書き上げることができました。

作中でははっきりと書きませんでしたし、この題材に限ってはあまりこういう言い方をしたくはないのですが、これは平たくいえば「浮気」の話です。
不快に感じられた方もいらっしゃったかもしれません。



タイトルを『彼らの罪について』としなかったのは、この行為に対し彼の方は疑いを抱いていないから。これが自分も相手も幸せになれる方法なのだと、純粋に信じているからです。
これはあくまで、頼子視点の話。

この選択をすることしかできなかったふたりを肯定するわけではありません。
彼らの想いはどうであれ、最愛の彼女にとってこれはひとつの裏切りであることに変わりはない。

でも世の中綺麗事ばかりじゃない。こうすることでしか叶わない愛があるのなら、言葉にできない苦しさがあるのなら、それを切り取ってみたい。
私の力量では短編という短い頁数になってしまいましたが、そんな思いで描いたキャラクターたち、そして物語でした。



そして産みの親としてやっぱり私は彼らのことが大好きで、彼らの未来に幸せがあることを願わずにはいられません。


読んでくださったあなたへ、最大級の感謝を込めて。


2017/05/23 水瀬由仁 拝