170回、好きだと言ったら。




今日は何故かテルくんが優しい。

こんなにもあたしを抱きしめてくれたり、慰めてくれるのは昔だと有り得ない話だ。



「…170日経ったら聞いて欲しいことがある。
実衣がそれまで俺が何かを言って離れようとしても……、待てるなら聞いて欲しい」

「…勿論、あたしずっとずっと待つよ。
だからその時が来たら、あたしの言葉も聞いてね。まだ続きがあるから」

「……分かった」


ちゃんとテルくんが好きだって伝えよう。
遠まわしな言い方じゃなくて、素直に2文字の言葉を言うんだ。


「…俺の事、キライって言えよ。
そしたらキスしてやっから」



ぽつり、テルくんが呟いた。
まるであたしが何を言いたいのか知っているかのような口ぶりだ。


驚くあたしを置いて、テルくんは口角を上げた。


「……実衣も、キスしてぇんだろ?」