170回、好きだと言ったら。




―だから、お兄ちゃんが死んだ後あたしはテルくんに言った。


《あたしに近寄る人は皆死んじゃうんだね。
あたしの事好きって言ってくれたお兄ちゃんや、あたしを産んだせいで死んじゃったお母さん。
いつかはお父さんまで…死んじゃうのかなあ》


そんな後ろ向きな言葉に、テルくんは真っ直ぐな瞳で言った。


《例え俺が死んでも、実衣のせいじゃない。
だって俺は実衣がキライだから》


…そうだ。
あたしの言葉を聞いてから、テルくんはキライって言い出したんだった。


呪いみたいな言葉をかけてしまったのに。
あたしはまだ君を好きでいてしまった。


ぼろぼろと零れ落ちた涙を吸い取るようにテルくんが唇を寄せた。