実衣はぶつぶつ文句を言いながらも、俺の我儘に毎朝付き合う。


何が楽しいのか、料理中は鼻歌歌ってるし、料理の邪魔をしようと近づいても、酷く突き放さない。


それが、俺のずっと好きな女、沖宮 実衣というヤツ。



俺の、何より大事な女だった。



訳があって俺はいつも早退を繰り返し、俺の仲間である奴等のところへ足を運べば、今日も幼馴染といたのかと冷やかされる。


一度殴り飛ばしてやろうかと思ったが、そんな俺を止めたのが副総長の佐久間 潤(サクマ ジュン)という男だ。


「まーまー! 照道やって、幼馴染がおってもおかしくないやろ!
あ、好きな子やったか?」

「……はっ倒すぞ、てめぇ。それよりアイツ等の動きはどうなんだよ」


苛立ちを隠さず俺が言えば、佐久間が「それやねんけどなあ」と紙切れを一枚渡す。


「沖宮を俺達から引き抜いたってのに、結局死んでもうて。今は大人しくしとるわ。
何の宣戦布告もないのが逆に気味悪いゆーか…」