睨むようにこちらへ視線を向けた彼に怯えながら、開かれた扉から中へ入ると、至って普通のカフェだった。

外見とは違い、全然片付いているし、くもの巣も一つもない。


あ、あれ? あたしが変に勘違いしてただけなのかな…?



「座れ、どこでもいいから」

「ひっ! は、はい!」


背後に現れるの、本当に心臓に悪いよ…!
とは言え、睨むなんて恐ろしくて出来ないためぐっと堪える。とりあえず窓側の椅子に腰を落ち着かせると、男性がこちらをじっと見つめていた。


…す、凄く気まずい空気……。


「…お前もそこがお気に入りか。ふん、変わり者が多いんだな」

「……??」

「メニュー、机の端に立てかけてあるだろ。決めたら声かけろ」