ふわふわした世界でお兄ちゃんが遠ざかってしまうような気がした。


あ、と名残惜しそうな声を出したあたしを見てお兄ちゃんは不意に空を見上げた。

先程まで真っ白だった世界は、明るいスカイブルーを描いている。いつの日かお兄ちゃんと見た空と同じだった。



「片思いを乗せた電車は最終的に間違った駅に着いてしまうのか、
それとも両思い駅に辿り着けるのか―、それは君たち次第だ」


そうだね。

テルくんがもしあたしを受け止めてくれるなら喜んで抱きつくだろう。


だけど、いいのかな。
あたしが幸せを望んでも。


勿論と言わんばかりに頷いたお兄ちゃんはあたしに手を差し出した。