不意に思い出したのは実衣の兄貴が、今実衣の持っている本に丸印を書いていた光景だった。
実衣の兄貴と映画を観た1ヵ月後のことだ。朝から並んで買ったらしい杜禰リマの本を自慢して来た。
面倒だったから適当に相槌を打っていたが、170ページ目を開いて俺に見せてきた。
「これね、鞠が俺に《もし明日死んだとしたらどうする?》って質問に対して、答えた言葉なんだよ。実衣を置いて死んだら後悔で沢山だろうし、もっと会ってあげればよかったって思うからね」
「……じゃあ会えばいいだろ。映画だって俺と行かなくてもよかったじゃねぇか」
「うーん、だって照道ってさ10代で死ぬこと前提に生きてるでしょ?」
「…は?」
「え、違うの?」
幼い頃から身体が弱い俺は喧嘩に没頭することで、死ぬことから逃げていた。
だが、不意に考えるのだ。
明日急に呼吸困難になって死んでしまったらどうなるんだろうか、と。

