奥歯を噛み締めながら聞けば、医者は「そうですね…」とカレンダーを見ながら考えた。



「100日の間に再発することが多いと言われてます。
とは言っても、私が過去に診て来た患者を踏まえた上での話なので、確実とは言えませんけどね。
様子を見る為にも100日以上は入院して欲しいです」


俺はそれを聞いて、ふと実衣の兄貴が好きだった杜禰リマの本を思い出した。
あの本は実衣が今持っているのを知っているため、何か励まされるような言葉はないかと考えた。


俺だって人間で《死》と向き合うのは怖かったのだ。今まで身体が弱いせいで何度も死にそうな思いはしたが、いざ余命宣告に近いことを告げられるとそれなりに心身的にも辛いものだった。