170回、好きだと言ったら。




必死にあたしを止めようとする彼女に、思わず噴き出して笑ってしまった。

あたしにつられて東さんもつい笑い出す。
そんなあたし達を見て小野瀬さんが「えっ」と少し困惑した表情を見せた。


…飛澤さんの近くにいたせいで忘れていた気がする。そうだ、テルくんといたときの日常ではこんな他愛ない会話をしていたんだっけ…。


笑いすぎて涙が浮かんだのか、それともテルくんを思い出して涙が出てしまったのかあたしには分からなかった。



それから間もなくして飛行機が動き出した。
窓から見えた景色は一言で言い表すには到底出来ないほど綺麗で。

うっとりと眺めていれば、東さんがおずおずとお菓子を差し出した。