170回、好きだと言ったら。




いつも鼻で笑ってバカにしているように見えるけど、きっと連絡をすれば駆けつけてくれる。

素直じゃないけどあたしはよく知ってるよ。
テルくんに手渡されたカラッポのお弁当箱を握り締めて、彼が立ち去るのを見送る。


遠くの方でバイクのエンジン音が聞こえて、段々と遠ざかるのを聞き終えた後、あたしは教室へ戻った。



「沖宮さん、今から暇かなっ…?
わたし、どうしても行って見たいカフェがあって…! そこにね、杜禰リマ先生が通ってるらしくて」

「ええ! それ本当?」


放課後を迎えると、すぐに鞄を持って立ち去ろうとしたあたしに声をかけた小野瀬さん。

きらきらと輝いた瞳を見て、勿論!と頷きたくなるけど、今日はテルくんのお家に行って晩御飯を作って待たなければならない。


「それ、明日の放課後でもいいかな? 今日はちょっと用事があるんだ」

「勿論いいよ…! わたしのほうこそ急なお誘いでごめんね?」