確かに一言では言い表せないことばかりだ。

あたしはもう一つ、言っておかなければならないことがあった。


「……もしかしたら小野瀬さんの言う《初恋の人》と知り合いかも知れないんだ」

「ええ!」

「…でも、その人はあの怖いカフェの人が率いる族の幹部だから……。
小野瀬さんを危険な目に遭わせたくなくて黙っていたんだ」

「…沖宮さん」

「あたし、本当は幼馴染のこと好きだったのに脅されて、好きでもない人の女にならないと駄目で…。
もうどうすればいいのかわかんなくて…」

「…そうだ! 前にショッピングモールへ連れて行ってくれた人に相談してみたらどうかな…?」


潤さんと桃妃子さん、最近全然会っていなかった。
どうしてかは分からないけど、向こうが会わないようにしている可能性もある。
テルくんとは疎遠になってしまったし、今のあたしに出来るのはただ守ることだけだ。