170回、好きだと言ったら。




静かな部屋にプルル…と着信音が響いた。

その音一つに肩が震え上がる。そうだ…、飛澤さんとも連絡先を交換したんだった。


じゃあ相手は飛澤さん…?


恐る恐る携帯のディスプレイを見れば、そこに表示された名前に目を見開かせた。


「……小鳥遊、さん…」


3コール目を過ぎたところで、ようやく電話に出たあたしは、携帯越しから聞こえた小鳥遊さんの声に安堵のため息を零す。


《沖宮さん、寝ていたらすみません…。
折角連絡先を交換したにも関わらず、中々連絡するタイミングがなくて。
あの、明日夕方の五時空いていませんか?》

「……だ、大丈夫、です」

《そうですか、よかったです。
では明日の五時あのスーパーに来て下さい。どうしても行って見たいレストランがあって一人では行きにくかったんですよ》

「そ、うなんですか…? じゃあ是非、行かせて貰います…」


あたしの声、震えているのがバレていないだろうか。
今にも泣きそうな声に気づかれていない?