どこでもええ、と言った潤さんに甘えて、そっとお腹に手のひらを添えた。
さりげなくヘルメットを借りさせてもらう。
テルくんとは違う、体温。
お兄ちゃんとは全然違う香り。
失礼かも知れないけど、やっぱり安心する背中はテルくんが一番だと思ってしまった。
「バーに行くのもつまらんし、丁度杜禰通りに新設オープンしたショッピングモールにしたんやけど…」
「ダダ混みじゃない! 貴方はどうして選ぶセンスがないのよ!!」
「俺やってこれでも真剣に悩んだんやで!?
駅前のスーパーに買出しとか…、海とか!」
「スーパーなんていつでも行けるじゃない!
しかも…海なんてあの子達の学校から二時間は越えるわよ…?」
「そらすまへんわ。まあはぐれんようにしーや」
初めてバイクに乗った小野瀬さんは、ふらふらした足取りであたしに近寄った。
「だ、大丈夫?」
「えへへ…バイクって憧れてはいたんだけど…わたし、ジェットコースターとか苦手なの忘れた…」

