170回、好きだと言ったら。




どこでもええ、と言った潤さんに甘えて、そっとお腹に手のひらを添えた。
さりげなくヘルメットを借りさせてもらう。


テルくんとは違う、体温。
お兄ちゃんとは全然違う香り。


失礼かも知れないけど、やっぱり安心する背中はテルくんが一番だと思ってしまった。



「バーに行くのもつまらんし、丁度杜禰通りに新設オープンしたショッピングモールにしたんやけど…」

「ダダ混みじゃない! 貴方はどうして選ぶセンスがないのよ!!」

「俺やってこれでも真剣に悩んだんやで!?
駅前のスーパーに買出しとか…、海とか!」

「スーパーなんていつでも行けるじゃない!
しかも…海なんてあの子達の学校から二時間は越えるわよ…?」

「そらすまへんわ。まあはぐれんようにしーや」


初めてバイクに乗った小野瀬さんは、ふらふらした足取りであたしに近寄った。


「だ、大丈夫?」

「えへへ…バイクって憧れてはいたんだけど…わたし、ジェットコースターとか苦手なの忘れた…」