170回、好きだと言ったら。




「……ほんまにアイツの妹なん?
沖宮は人ん家来ても《ねえお茶とか出さないの?》とか言うて失礼なヤツやったし、感謝の言葉なんて一度も言わんようなヤツやのに……」

「腹違いの兄妹とかじゃないのかしら。
あんな悪魔みたいなヤツの妹なんて、私未だに信じられないもの。
でも…、彼女とても可愛い子ね。照道が夢中なのも納得いくわ」

「やけど…照道はもう……」

「そうねえ…、どう行き着いてしまうのかしらね。片思いを乗せた電車は最終的に間違った駅に着いてしまうのか、それとも両思い駅に辿り着けるのか…」

「何や、桃妃子。まだ引きずってるん? 鞠のこと」

「バカ言わないで頂戴! あんな文字が恋人とか言ってたヤツなんてとっくに忘れたわよ!」


この時のあたしはまだ知らない。

人の縁というのは―、知らないところで繋がっていることを。