「ん?」
「あ……えっと」
「どした? 誰か、なんかあった?」
癖みたいに、くるり、と華麗なペン回しを決めた柊くんの視線は、わたしが左手に握りしめているスマホに向いている。
いっそ、なんでもないよ、と言ってしまいたかった。
勉強するためだとしても、せっかくこうして、好きな人とふたりきりで、日曜日を過ごしているんだもん。
とても貴重で、あまりに幸福なこの時間を、自ら棒にふるなんて、どうかしている。
だけど、わたしは嘘をつくのが上手じゃないし、あんなにたくさんの泣き顔の絵文字を送ってこられて無視できるほど、気の強いやつでもない。
それに、仮にスルーできたとしても、きっと気になってしまって、勉強どころではなくなると思うのだ。
なので、もう意を決して、顔を上げた。
「……あのね。実は、久遠くんが――」



