わたしに似ている人形の話は、覚えていたけど、おおかた日本人形のことだと思っていた。
梓ちゃんなんかには、それを指して、ななちゃんはお人形さんみたいね、と言ってもらうことも多いし。
それが、まさかの、こけし、て。
そんなの、意地悪なお兄ちゃんにすら、一度も言われたことがないのに。
ちょっと自分を過信しすぎていたみたい。
恥ずかしい。
「俺は、きなこちゃんのこと、すげーうらやましいけど。どっからどー見ても日本人だってわかるじゃん?」
さらさら流れる金色の前髪を、久遠くんはひとすじ掬うと、指先でチロチロともてあそんだ。
薄い色素の瞳が、それを捉えるように、天を見上げる。
「あ……えと、久遠くんはたしか、イギリスと日本の……」
「そう、ミックス。4分の1がイギリス人で、4分の3が日本人だよ」
「え、そうなんだ。てっきり逆かと思ってた」
「まあ、こんな髪とか、目の色してたらな。でもそこまで彫りも深いわけじゃないと思うし、顔立ちはわりと日本人寄りだろ」
ずい、といきなり顔を寄せられたので、すごく驚いた。
それなのに、そのまま吸いこまれるみたいに、見入ってしまう。
美しいものに引き寄せられてしまうのは、すべての生命に等しく搭載された、本能のようなものなのだろうか。



