「たしかに、きなこちゃん、そんな感じする」
「え。そんな感じ、って、どんな感じ、ですか」
「んー。海外かぶれしてない、ザ・日本の女の子、って感じ」
なにを言われているのかぜんぜんわからなくて、頭上にハテナを飛ばしていると、久遠くんが小さく吹きだした。
ふは、と息が漏れるような笑い方を、たぶんはじめて見た。
「あのさ、なんて言うんだっけ、あれ。あ、そうだ、“こけし”?」
「うん? こけしが、なに? どうしたの?」
「広島で見かけた人形、きなこちゃんに似てるのが大量にあるって言ったの、覚えてる? あれからすっげえ気になって調べたの。そしたら“こけし”って出てきたんだけど、合ってんのかな? そういうのがあんの?」
そういうのは、もちろんあるにはあるので、肯定するべきなのだろうけど、なんだかいまは、ぜんぜん肯定する気になれない。
「久遠くん、こけしを見て、わたしに似てるって思ったの……?」
「うん、だって、激似じゃん」
「ひ、ひど……」
「え? なんで?」
「……日本の女の子に、こけしに似てるね、なんて、あんまり言わないほうがいいと思うよ」
「え、マジで? かわいいじゃん、こけし」
「褒め言葉だとしても、ぜったいに言わないほうがいい」
かわいい、って。
悪気なく、本気でそう思ってくれているのだとしても、正直まったく嬉しくない。



