「あの、ちょっと待って、わたし、お金、払うので」
「いーよ、きょうは俺のオゴリ。勉強つきあってもらうお礼じゃん」
「でも、クレジットカードって、ひょっとして久遠くんのお金じゃないのでは……」
「じいちゃんからの小遣いだよ。だから俺が使える自由な金だし、それに、そこまで騒ぎたてるほど高いもんでもなくね? 抹茶ラテと、シフォンケーキだろ」
商品を受け取るなり、トレーにのったドリンクとケーキに目くばせして、久遠くんが左の眉だけを上げて笑った。
「う……でも」
「でも、じゃなくて、ありがと、でいいじゃん。マジで、日本人にありがちなそういうの、ダルいんだよな」
「うっ、すみません……」
「だーから、そーじゃなくて」
「……はい。ありがとう、ごちそうさまです」
やはり有無を言わせてくれない彼に、もはやくっついて歩くだけだ。
店内を徘徊した久遠くんが最終的に選んだのは、大通りが広く見渡せる、ガラス張りになっているところのカウンター席だった。



