お店は、入ってすぐのカウンターであらかじめオーダーを済ませる、前払い制だった。
迷わずキャラメルマキアートを注文した久遠くんにつづいて、かなり迷いながら、やっとの思いで抹茶ラテをお願いする。
あまりに美味しそうだったせいで、ショーケースに行儀よくならんでいるシフォンケーキに目を奪われてしまっていると、早くも財布を取りだしている久遠くんから声をかけられた。
「なに、きなこちゃん。食いたいの?」
「え……あっ、そういうわけじゃないんだけど、すごくおいしそうだなぁ……って」
「オッケー、わかった。じゃあ、あっちのシフォンケーキも一緒にください」
せりふの後半は、わたしでなく、店員さんにむけられたものだった。
だけど、スマートすぎて、思わず聞き流しそうになってしまう。
「えっ、あの、久遠くん」
「いいじゃん。俺も食いたいし、半分こしよーよ。あ、支払いって、クレジットカードでも大丈夫ですか?」
わたしと会話しながら、感心するほど器用に、店員さんともやり取りを続けていく。
高校生の財布から、当たり前のようにクレジットカードが出てくることに目をシロクロさせていたら、いつのまにかふたり分のお会計が終わっていたので、また焦った。



