「きなこちゃんに激似の人形! しかも超大量にあんの。マジでやべーから、なあ、一緒に見に行こ」
やはり、そこはかとなく日本人離れした、美しい顔。
とても楽しげに話すそれを、目の前で眺めているはずなのに、彼の声が右から左にすべて抜けていってしまう。
実は、久遠くんの顔を見た瞬間、ある考えを思いついて、そのことで頭がいっぱいになってしまったのだ。
ポンコツなりに、我ながら名案だと思うので、これはぜひとも実行してもらうほかない。
「あの、久遠くん。朝香ちゃんが、ちょっと、体調悪いみたいで」
あわててしゃべったら、いささか早口になってしまった。
わたしのそれと入れ替わるようにして、久遠くんは動かしていたくちびるを止め、驚いたように眉を上げたのだった。
「え、小宮山さん? どーしたの、大丈夫?」
「うん、さっきの資料館で……」
「あー」
納得したふうにうなずきながら、心配そうな表情を見せた彼の胸に、いま購入したばかりのペットボトルを、ぐ、と押しつける。
「それでね。お水、買ったから、久遠くんが朝香ちゃんのところに持っていってくれないかな?」
「え? なんで俺? きなこちゃんが買ったんじゃねーの」
「あ……えと、わたし、どうしても買っておかなきゃいけないお土産があって」
「そんなのあとでいーじゃん」
「えっと、すごく、急ぎなの」
「はあ?」
「だから、久遠くんに、朝香ちゃんの介抱をお願いしたいの!」
「“カイホウ”って?」
おかしなところで出鼻をくじかれ、ずっこけそうになりながらも、お世話をすることだよ、と簡単に説明をする。
久遠くんはあまり納得いっていなさそうだったけど、わたしの必死の形相に押しきられたのか、最後には了承してくれた。



