「……それで、ね。できればわたしも、ななちゃんと、久遠くんと、一緒に行動したいなあ……と、思って」
また、まぬけな声が出た。
今度はもっと、盛大にガスが抜けた感じの、文字には表せないような音。
「ななちゃんが、もしよければ、なんだけど」
「あの……こんなこと言うのも何だけど、それは絶対、わたしに許可を取るようなことじゃないと思う。どちらかといえば久遠くんに、というか、わたしたちがいっしょに回るともわからないし、もし朝香ちゃんが久遠くんと回りたいなら、わたしは、ぜんぜん、」
「あ、うん! もちろん、久遠くんにも聞いてみようとは思ってるんだけどね……」
まとまりのない、わたしのダラダラとした言葉を遮り、朝香ちゃんはどこか控えめに言った。
「でも、本人にダイレクトに聞くのはちょっと恥ずかしいし、それに、いきなりふたりきりなんて……絶対、無理だと思うから」
いつもの意気揚々とした話し方と、ぜんぜん違う。
徐々にすぼまっていく語尾は、なんだか、どうにも自信なさげな響きをしている。
朝香ちゃんは、少し目線を下げながら、頬を蒸気させていた。
この表情を、わたしは知っている、と思った。
きのう、見上げた右側にあった柊くんのそれと、よく似ていたのだ。



