それでもなお、久遠くんは、ご機嫌ナナメのままである。
ううむ、どうしたものか。
知らず知らずのうちに、他にもなにか、やらかしてしまったのだろうか。
情けないのだけど、ニブい性格だから、言ってもらえないとわからない。
というか、そもそも、わたしに原因がある、なんて思うほうが傲慢かな?
久遠くんの機嫌に、わたしなどいっさい関係なくて、これは、ぜんぜん別のところで拾ってきた感情なのかも。
勝手にぐるぐる考えを巡らせながら、探索するみたいに、彼の顔を眺めていた。
そこで突然、ふと、あることに気がついてしまった。
「……ねえ、久遠くん」
「なに?」
「あの……話がすごく変わるんだけど、ひとつ、聞いてもいい?」
この質問をぶつけるには、ちょっと、場違いにも程がある。
そんなことは、ちゃんとわかっている。
「……なに?」
「久遠くんって……ひょっとして、お姉さんか、妹さん、いる?」
でも、いますぐにでも、訊ねずにはいられなかった。
久遠くんの、目の色。
ベージュとグレーが混ざりあったような、独特のニュアンスのある、とても素敵な色。
この、透明に近い、色素の薄い、とても美しいガラス玉とまったく同じものを、ついきのう、わたしは目撃したばかりだったから。
久遠くんは、――柊くんの好きな人と、同じ瞳を持っている。



