どうしよう、熱っぽく見すぎていた、かも。
女の子どうしなのに、変だと思われてしまった、かも。
失礼極まりないことこの上ないけれど、反射的に視線を逸らしたら、いきなり肺をめがけて、酸素が勢いよく押し寄せてくるのがわかった。
どうやら、なんと、呼吸をするのさえ忘れてしまっていたらしい。
なんとなく、柊くんのいる右側を見上げた。
あまりに非現実的なものを目撃したから、一刻も早く現実の世界に帰りたい、なんて、ヘンテコなことを思っての行動だった。
でも、柊くんの世界に、
少なくともいま、わたしなど存在していない。
それを、否応なく、悟ってしまう。
「……あ、……」
――彼女、だ。
柊くんの言っていた、“好きな人”というのは。
きっと、絶対に、彼女のことだ。
いつも優しく笑っている横顔が、どこか切羽詰まったように、切なそうに、歪んでいる。
日焼けした頬が、それでもわかってしまうくらい、赤く染まっている。
咄嗟にうつむいていた。
ああ、わたしは本当に、初恋を失くしてしまったのだ。
もうわかっていたことを、いざ目の当たりにしたら、床が抜け落ちていくみたいな、視界にぽっかりと穴があいていくみたいな、とてもむなしい感覚がした。



