「あ、そうだ。せっかくだし、ななちゃんも少し貰っていってくれない?」
「ええっ、いいの?」
「もちろん。おばさん、お野菜好きだったよね」
「うん、そうなの。嬉しい、ありがとう、ママも喜ぶと思う」
梓ちゃんが別でビニール袋を用意してくれたので、お言葉に甘えて、少しだけ貰って帰ることにする。
まっすぐ伸びたアスパラガスや、大きくてまんまるの新玉ねぎ、まだ土が付着したままのたけのこ。
春野菜は、なにを食べても本当に美味しいと思う。
多少わたしが請け負ったことで、柊くんの負担をちょっとでも減らせるかな、と思ったのだけど。
うちに持って帰る予定のビニール袋まで、柊くんは何気なくさらっていくと、「持つ」と当たり前みたいに言ってくれたのだった。
大丈夫だよ、とどれだけ言おうと、いっさい聞いてくれない。
力持ちなところとか、ずいぶん大きくなった背丈とか、そういうのを目の当たりにするたびに、柊くんが男の子で、自分が女の子だという事実を思い出して、胸がむずむずしてしまう。
「てか、姉ちゃんは、もう帰んの?」
「んー、私はもうちょっとしてから帰る。実は、このあと、ネイルチップお渡しのお客さんが来る予定なんだよね……、あ。ちょうど、いらっしゃったみたい」
噂をすればなんとやら、というのは本当らしく、梓ちゃんの言葉と同時にお店のドアが開いたので、ちょっと面食らった。
そして、次の瞬間、わたしは言葉を失っていた。



