いつ見てもおしゃれな外観は、秘密の隠れ家みたいに、どこかこっそり佇んでいる。
梓ちゃんがイチからこだわって作り上げたというお店は、こぢんまりしているけれど、リピーターさんが多いと聞く。
そんな、質のいいお店のドアを、柊くんはいつも通り、正面から入った。
閉店間際だからか、店内にお客さんらしき姿は見えない。
レジカウンターでなにやら作業をしていた梓ちゃんが、呼び鈴に反応し、ふっと顔を上げた。
「……おっ。柊、やっと来たね。やっほー、学校お疲れさま」
黒髪のよく似合う、さっぱり系の美人。
柊くんと似ている、つり目がちなのに、とても優しい瞳が、クシュッと笑った。
そして、弟の後ろに隠れていたわたしの存在に気づくなり、たちまちその目をまんまるにしたのだった。
「ええ? 待ってよ、ななちゃんもいるの? めちゃくちゃ久しぶりじゃん!」
言うなり、作業をほっぽりだしてしまった梓ちゃんが、こちらへ駆け寄ってくる。
なんといっても久しぶりに顔を合わせるから、なんだか少しだけ、気恥ずかしい、みたいな気持ちになってしまう。



