わたしのこの性格は、優しいとかでなく、単に気が弱いだけだ。
でも、柊くんは、きっと良い意味をもって言ってくれたのだと思うから、わざわざ否定する必要もない気がしてしまった。
「……ありがとう。そんなふうに言ってくれる柊くんのほうが、絶対、優しすぎる……と、思う」
「あー。昔は『ななのおにいちゃん、しゅうくんがよかったぁ』って、よく泣いてたもんな」
「な……! そんな昔の記憶、引っぱりだしてこないでよ。それに、お兄ちゃんは、悟朗さんだけでもう充分だよ……」
あからさまにげんなりして見せると、柊くんはからからと笑った。
「でも、同い年のくせに変だけど、俺はななのこと、妹みたいに思ってるからさ」
そして、少しだけトーンを落とすと、とても穏やかな声色で、そう続けたのだった。
「なんかあったら、遠慮せず頼ってこいよ」
「……うん、ありがとう」
妹みたい、か。
それは、まぎれもなく、“特別”ということなのだろう。
柊くんにとって、特別な女の子でいられていること、すごく幸せに思う。
それなのに、素直に喜べないのは、わたしにとって柊くんは、決して“兄のような存在”ではないからだ。
わたしの“特別”と、柊くんの“特別”は、きっとぜんぜん違っている。
そして、それが重なりあうことは絶対にないのだと思うと、優しさを上手に受けとることができなかった。



