きみは宇宙でいちばんかわいい



「そういえば、部活どう? 2年生になって、なにか変わった?」


柊くんの所属しているハンドボール部は、いつも遅くまで練習をしているので、こうして帰り道を共になぞることは、年に数回あればいいほうだ。


久しぶりに部活終わりの姿を見られたのが、なんだか思いがけず、嬉しい。

おかげで、普段はあまり聞かないようなことを、うっかり訊ねてしまう。


「んー。劇的に変わったことは特にないけど、相変わらず、楽しいよ」

「そっかぁ、それならよかった。お兄ちゃんもね、柊くんの部活のこと、よく気にかけてるよ」

「マジ? まあ、俺、完全に悟朗(ゴロー)くんの影響でハンド始めたもんな。元気にしてる?」

「うん、ちょっと元気すぎるくらい。ほんと、大学生になってから、いろいろと超エンジョイしててね、妹は困ってるよ」

「ぶは。なんか想像できるかも、エンジョイしてる悟朗くん。久しぶりに会いたくなってきた」


この春に高校を卒業し、大学生になったふたつ上の兄・悟朗は、出来の悪い妹とよりも、柊くんとのほうが仲が良い。

小さな頃は、男の子どうしで楽しそうに同じ遊びをしていたし、成長してからは、勉強も運動もできるふたりは意気投合していて、わたしはいつも、置いてけぼりを食らってばかりだった。