「……ねえ。なんで、そんなに嫌がるの? 友達になりたい……って、そんなふうに思ってもらえるなんて、すごく幸せなことだと思うよ」
お弁当箱の中に視線を落としながら、声の震えを精いっぱい抑えて、なんとかしゃべる。
きょうのタコさんウインナーは大失敗だった。
卵焼きに気をとられていたせいで焦がしてしまい、顔を付ける気にもなれず、のっぺらぼうのままである。
「……久遠くんは、贅沢だよ」
わたしは、このタコさんウインナーと同じ。
クラスのほぼ全員にとって、すぐに顔も思い出してもらえないほどの、のっぺらぼうな存在なのだろう。
だけど、久遠くんは違う。
そこにいるだけで、誰もが目を奪われてしまうほど、存在自体が光を放っている。
それは、決して、天然の派手な髪色のせいだけではないのだと思う。
「……きなこちゃんに、俺の何がわかんの?」
「え……」
「どうせまた年内には消える俺が、通りすがりの場所で、その場しのぎの“友達”なんか作って、なんか意味でもあんのかよ」
そこで、やっと、顔を上げた。
そして、視線をむけた先で、久遠くんは、苛ついたようにくちびるを噛んでいた。



