でも、ちょっと、さすがに、わたしみたいなのが厚顔無恥に出ていっていいような場面ではない、気がする。
わたしが、たとえば、朝香ちゃんみたいにかわいくて、きらきらしていて、みんなからの人望もある、すごく素敵な女の子だったなら、また話は違っていたのだろうけど……。
「――ごめんね」
そこに、いきなり凛と響いた、久遠くん自身の声。
同時に、ざわついていた群衆の中枢部へ、刹那の静寂が訪れた。
「ぼく、お昼だけは、絶対に木原さんと食べたいんだ。みんな、誘ってくれて、ほんとうにありがとう」
そんな衝撃的な言葉にも、反応させてもらえる暇さえ、与えられなかった。
「じゃあ、行こう、木原さん」
「え? ……あっ、」
「行こう」
久遠くんとわたしとのあいだを隔てている制服たちの隙間から、にゅ、と手が伸びてきたかと思えば。
いつのまにか指先が捕まり、わたしはそのまま、強制的に教室の外へ連行されてしまったのである。



