地球上に存在している、きらびやかさのすべてが、手放しで味方している。
そんなふうに思えてしまうほど、久遠彩芭くんは、きょうも、圧倒的に、絶対的に、美しかった。
「こんにちは。2年1組の、久遠彩芭です」
この場にいる全員の意識が、すっかりステージに引きこまれてしまっているのか、恐ろしいほどの静寂に包まれていた無音の空間に、彩芭くんがぽつりと言葉を落とした。
「まずは、こんな場にぼくが出ることを許してくれた、すべての人に感謝したいです。ありがとう」
そう言うと、転校してきた日と同じように、いろんな方向にむかって何度か頭を下げて。
「少しだけ、ぼくの話をさせてください」
そして、これから始まるなにかに前置きするように、落ち着きはらって、そう続けた。
「たぶん気づいてる人もいるだろうけど、ぼくは、この文化祭ではじめて、こういう格好をしたわけではありません。実は、普段から、こんなふうに女の子のファッションを楽しんでいます。理由は簡単で、ぼくは、かわいいからです」
最後の一言に、どこか緊張感さえ持ち、息をひそめて彼の言葉に耳を傾けていた会場中から、どっと笑いが起こる。
それを受けて、彩芭くんも満足そうに笑った。



