「朝香ちゃん……! 本当に、お疲れさま」
「ありがとうっ」
わたしの右隣りに座った朝香ちゃんに、反対側にいる柊くんも、労りの言葉をかける。
そういえば、ふたりが話しているところというのは、なんだかんだではじめて見る気がする。
「はぁ、無事に終わってよかったぁ。ほんとに緊張したよぉ」
「ええ? ほんとう? ぜんぜんそんなふうに見えなかったよ。もう、すごすぎて、ひたすら感動しちゃった」
もっといろいろな言葉を使って気持ちを伝えたいのに、語彙力がないせいで、百分の一すらそうできなくて、もどかしい。
どうしようもできずに悶えていると、柊くんが「なな、ちょっと泣いてたもんな」なんて、よけいな暴露をするから、それはそれで少し恥ずかしかった。
「このあと、もうちょっとで久遠が出てくるけど、このまま見てく?」
「あ、うん、そうだね! せっかくだし、そうしよっか」
柊くんの問いかけに、朝香ちゃんがフランクに答える。
このふたりに挟まれたまま、彩芭くんのステージを見るというのは、なかなか複雑な気がしないでもないけど、見ない選択肢のほうがありえないので、わたしも同意した。
――そして、それから数十分後。
彼女は、驚くほど堂々とした様子で、ステージ上に現れたのだった。



