「わたしが“引き立て役”に見えてしまうのは、朝香ちゃんのせいじゃなくて、わたしのせいだと思うので、だから、その……」
「ああ、もう。いいよ、わかったよ」
勢いまかせでしゃべってみたはいいものの、最終的に話がまとまらず、口ごもっていると、ふたりのうちのひとりが、それを制止するように声を出した。
がばりと視線を上げる。
きっと罵声を浴びせられるのだと思って身構えたけど、ふたりは申し訳なさそうに少し眉を下げ、ばつが悪そうに笑いながら、お互いに顔を見合わせただけだった。
「こっちも、本人たちがいないと思って、あることないこと言って、ごめんね」
「言い訳になっちゃうけど、朝香ちゃんのことも、木原さんのことも、もちろん久遠くんのことも、本気で嫌ってるわけじゃないから」
「ていうか木原さん、見かけによらず、けっこうガッツあるんだね?」
「それね。びっくりしちゃった。ほんと、うちらに言えたことではないかもしれないけど、ミスコン頑張ってね」
じゃーね、なんてひらひら手を振り、教室を出ていこうとするふたりの背中を、ぽかんと見送る。
ああ、よかった、腰が砕け散りそう……、じゃなくて。
いちばん言わなくてはいけないことを、言いそびれてしまっている。
「あのっ、ありがとう、クラスの準備、任せっぱなしにしちゃって、ごめんなさい! ありがとう!」
ふたりは、同時にこちらをふり向くと、「どういたしまして」と、それぞれ笑ってくれたのだった。



