「ていうか、久遠くんとか、朝香ちゃんって、なんで木原さんと仲良くしてんだろうね」
「うーん。久遠くんは天然っぽいし、よくわかんないけど、朝香ちゃんはアレでしょ? 木原さんのこと、引き立て役だと思ってるんでしょ」
「えー、ウケる、間違いない。朝香ちゃんって絶対自分のことカワイイと思ってるもんね」
「朝香ちゃん、ああ見えて、なかなかの性格してそうじゃない? なんか裏がある気がする」
きっと、かぎりなく、冗談に近い。
こんなのは、文化祭に関する不満がうっかり延長してしまっただけの、ただの軽口で、朝香ちゃんが本気で憎くて言っているわけではないのだろう。
わかっている。
わかっているけど、こればっかりは、どうしても黙っていられなかった。
「――あのっ」
ドアを引くのが先か、声を出すのが先か。
情けないほどテンパっていたので、タイミングがうまく掴めなかった。
それでも、どちらかに反応したのであろうクラスメートふたりは、すでに、はっとしたような顔でこちらを見ていた。
勢いで出てきてしまったけど、どうしよう。
今更ながら、ものすごく怖い。
全身がこわばっている。



